希望が生まれる介護セミナー続き
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
3月22日に行われた「希望が生まれる介護セミナー」認知症ケア実践講座。
3名の方がご講演くださいましたが、昨日の「たなかいご」さんに続き残りのお二人がお話くださったことを簡単にシェアします。
・山下総司氏
介護施設の「施設環境アドバイザー」として活動されている山下さん。私が最近最も注目している方のひとりです。
基本スタンスは、利用者さんを元気にする環境づくり。できることを奪わず、できる環境を整えるということですね。
利用者さんがご自分で出来るようになると、ご本人の達成感を満足させることができますが、実は効果はそれだけではありません。
今までその行為を代わりに行っていた職員の手が空くようになり、他の業務に集中したり少ない人数で効果的な介護を行うことができるようになるのです。
利用者さんにご自分で行っていただくために、徹底して使い方が理解できる環境づくりを実践されています。
・見ただけで分からないものには説明を添える
・説明は写真入りで分かりやすく
・バイタルの測定、食事の準備、見学者の案内も責任を持って任せる
こんなことを実践していくと、職員の負担を増やすこと無く様々な活動メニューを提供できるようになるのですね。
また動きやすい動線の話しもありました。動線を整理すると、職員さんが一日に歩く距離が数千歩変わるとか。
工夫の無いレイアウトによって、どれだけ無駄な時間と移動を行っているのかがわかります。
もうひとつ「言葉」についての話しが印象に残っています。
人は、言葉と態度が一致してしまうのだそうです。丁寧な言葉で乱暴な行動をしたり、その逆を行うのは難しいですよね。
ですので、言葉を丁寧にするのはとても大切。職員は利用者さんに常に見られていますから、全員の実践が必要です。
例外は、利用者さんが職員を自分の子供だと思っていたりする場合。この場合も、他の利用者のいない所で会話する配慮が必要です。
私も施設にお伺いするとこの言葉遣いが気になることがあります。
職員側は愛情を込めて馴れ合いの言葉で話しをしているのだと思いますが、その通り受けられているとは限りませんよね。
私が利用者だったら、心では不快に感じても、顔は笑顔を作って対応してしまいそうだと感じます。
ご講演の中では、改善例の写真をたくさん見せていただきました。
様々な工夫が行われていましたが、基本スタンスは目で見て直感的に理解できるようにされていることです。
これって、ユニバーサルデザインの基本ですよね。ご本人は意識されていないと思いますが、まさにUDだと感じました。
山下さんは全国各地の施設を飛び回ってお忙しくされているようですが、環境や運営の改善をお考えの方はご相談されると良いと思います。
施設改善の中で、改修工事が発生する場合には弊社にも声をかけてくださいね(笑)。
また長くなってしまったので、今日はここまでにします。