支える椅子が向かない方は?
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
昨日は福島県喜多方市の老健「パステルヴィレッジ小野」で副施設長を務めていらっしゃる作業療法士の武藤さんのレポートをご紹介しました。
車いすから支える椅子に座り替えることで劇的に姿勢が改善した例をご紹介したのですが、実は続きがあります。
支える椅子が向かなかった方に関するレポートです。以下にレポートの内容をそのまま書かせてもらいます。
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三人目の方です。
この方は円背が強く、仙骨座りでいつも車椅子に座られている方です。
この利用者様に「支える椅子」に座っていただくと・・・
「!!!!!」
なんということでしょうか。仙骨座りはほとんど無くなりましたが、円背のせいで下しか見れなくなってしまいました(汗)
「支える椅子」のチカラはスゴいです。どうやら、過度の円背の方に座って過ごしていただくのは難しいことが分かりました。
今回、「支える椅子」を試させていただいて分かったことは、ほとんどの利用者様において座位姿勢の変化を確認することが出来ました。
私自身、事務作業に疲れてくると仙骨座りになってしまうのですが、数日「支える椅子」で仕事をしましたが、姿勢を変えることなく長時間快適に座っていられました。
座った瞬間に「スッ」と適正なポジションが決まる感覚は、他の椅子では味わえないものです。
ただ、三人目の利用者様のように過度の円背の方には適合しない場合はあるように思いますので、対象者をしっかり評価する必要性を感じました。
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いかがでしたでしょうか。
武藤さんのレポートにありました通り、ご使用いただく前のアセスメントが重要だと感じます。
普段背中が丸まっていても、適切なサポートがあれば背を伸ばす事ができる方ですと、支える椅子はとても効果を発揮します。
しかし、圧迫骨折などによる背骨の変形によって円背になっている方は手術等行わない限り基本は猫背状態のままですので、支える椅子でも姿勢良く座っていただくのは難しいです。
支える椅子は、仙骨座りになるのを防ぐ為に座面を工夫してお尻が前に滑り出さないようにしています。
この位置に背骨の変形がある方を座らせてしまうと、今日ご紹介したようなことが起きてしまうのです。
このような方の場合は、椅子に浅く座って顔がもう少し上を向くように姿勢を調整する必要があります。
座る位置が円背のない方と異なりますので、座面の奥行きを少し大きくとり椅子がお尻をサポートする位置を変える必要があるわけです。
現時点ではこのような方をサポートする機能を持ち合わせていませんが、将来の開発課題として良いヒントをいただいたなと思っています。
今日の内容は、支える椅子の欠点をお知らせするような内容ですのでアップする事に少しだけ迷いがありました。
しかし、真実をお伝えすることが椅子を正しくご理解いただくために必要なことだと思いましたので、アップした次第です。
皆様のご施設でもこの椅子が向く方は多いはずです。ぜひ一度使ってみてください。
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