介護施設のトイレの適切なレイアウトとは?

介護環境デザイナーの間瀬樹省です。

 

今日はトイレに関する内容をお伝えします。

 

トイレ内の便器の位置について、普段深く考えることってあまりないかと思います。

 

でも介護施設においては、ご自分でお使いいただけるかどうか、また介護が行いやすいかどうかに大きな影響があるのです。

 

一般的に、トイレはドアを開けると便器がこちらを向いて正面に置かれていることが多いですね。

 

これが介護施設の車いすトイレだと部屋が広くなるので、便器の位置が斜め前になることが多いでしょう。

 

でもこのレイアウトは、介護が必要な状況の方の使い勝手について配慮されているかといえば、答えは「No」です。

 

当たり前のことですが、トイレでは便器に座る事が必須です。

 

便器に座るために、体の向きを変える必要がある訳ですが、便器が入口方向を向いているとその角度は限りなく180度に近づきます。

 

つまり最も体の回転角度が大きくなる訳ですね。

 

ではどうすればこの角度を小さくすることができるかと言えば、便器の後方に近い位置からアプローチするようにすれば良いのです。

 

いくつか例をお見せしましょう。

 

介護施設のトイレの適切なレイアウト

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このレイアウトの有効性について、TOTO株式会社さんと共同研究を行い、昨年「日本医療福祉設備学会」にて発表させていただきました。

 

昨年は利用者が全面的に介助を受けて利用する場合を想定した検証の内容を発表しましたが、今年もその続きを発表いたします。

 

今年は、利用者が手すりを使って利用する場合を想定した検証の内容について同学会にて発表いたします。

 

>第43回 日本医療福祉設備学会

 

写真や動画入りで検証の様子と結果を発表します。私の発表は11月12日です。

 

>大会プログラム

 

この学会は、HOSPEX JAPAN 2014の併設ですので、ご興味のある方は展示会を見学の際にお立ち寄りいただければと思います。

 

トイレの設計なんて、もう決まった形があるのではないかと思われがちですが、実はまだまだ研究の余地があるのですね。

 

ぜひ興味を持っていただき、少しでも使いやすいトイレが実現できるよう様々な可能性を考えた設計と工夫を行ってみてください。