浴室改修工事方法のいろいろ

私はメールマガジンやブログに浴室の設計に関することを多く書いているので、浴室の設計に関するご相談や設計の依頼を受ける事が
多いです。

 

新築であれば、スペースをゼロから作れますので自由に設計をすることができますが、改修の場合は制約が多くなります。

 

今日はその改修工事の方法についてお伝えしたいと思います。

 

改修工事の場合、私への設計やコンサルの依頼のほとんどは、現在の大きな一般浴や機械浴を個浴に変更したいというものです。

 

使いやすい個浴は「半埋め込み式」ですので、この半埋め込みをどのように作るのかが問題になります。

 

具体的な方法を3種類ご紹介します。

 

・床を壊して浴槽の埋め込みスペースをつくる

 

床のコンクリートを壊して、浴槽を埋め込むスペースをつくるという方法です。

 

浴室が1階の場合は行いやすいですが、2階や3階など上階の場合はその下のスペースに影響があり実施できないことが多いです。

 

また、壊した床の下が地面でなく空間(配管スペースや下階)として空いている場合は、型枠を組んでコンクリートを打ち直さなくてはなりません。

 

また、コンクリートを壊す際にはかなりの音と振動があります。

 

このように色々と条件や制約があり工事も大変ですが、一番きれいに作り直す事ができる方法です。

 

・一般浴槽の凹みを使って設置する

 

現在大きな一般浴室がある場合、その凹みを利用して浴槽の設置スペースを作る事もできます。

 

浴槽を設置しない部分は、コンクリートで埋めてしまう訳ですが全部をコンクリートにすると非常に重くなって床が重さに耐えられなくなる可能性があります。

 

そのような場合には「スチレンボード」などの軽い素材を使用し上部のみにコンクリートを使用するという方法で対応できます。

 

浴槽周囲の立ち上がりや手すりなどの撤去が必要となりますので、やはり音や振動などは発生します。

 

また、元々大きな浴槽があった場所の範囲内にしか浴槽が設置できませんので、設計がかなり制約される事になります。

 

ただ、床を壊してやり直すよりは工事は簡略で、工期も短くコストも安く収まります。

 

・床を高くして浴槽を設置する

 

床を壊したり、元々ある浴槽の凹みを利用したりできない場合は、床を高くしてそこに浴槽を埋め込むという方法もあります。

 

この場合もコンクリートで床を高くすると、床の上にとても重いものが載ることになってしまうので、「スチレンボード」などの軽い素材を使用し上部のみにコンクリートを使用するという方法で対応します。

 

浴槽の凹みを使う場合と違い設計は比較的自由にできますが、問題は床が高くなってしまうことです。

 

廊下や脱衣室から浴室に入る際にスロープや段差解消機などの設置が不可欠となります。

 

床は最低でも30cm程度は高くしないと浴槽の設置は難しいです。

 

狭いスペースでスロープを設置しようとするとかなりの急勾配になってしまいます。

 

床を高くする方法は、現在の建物を壊す事無く改修できる方法ですが床が高くなる事に対する対応が難しい方法です。

 

以上、それぞれに長所・短所がありますので、現場の状態に合わせた施工方法を選ぶ事になります。

 

個浴への改修をお考えの方、どの様な方法で工事するのかの参考にしてみてください。