29.将来を考えた建物にしよう

介護環境デザイナーの間瀬樹省です。

 

介護施設には様々な設置基準があり、その基準に従って建設することが求められます。

 

基準を守らないと介護施設として運営できませんから、当然基準は守って建設することになりますが、さらに考えておくべき事があります。

 

何かと言えば「将来を考えておく」という事です。

 

介護施設を設置する時には、どうしても今のニーズに目がいきがちですが、建物は一度建設すると長い期間使用するものです。

 

ですから、今後50年くらい使われる事を考えて、どのような建物にしておくのか考えるべきです。

 

例えば、都心ではベッド数の確保や低所得者への配慮として特養の多床室整備が復活しています。

 

今は多床室を必要としている人がいるかもしれません。

 

しかし、将来を考えると、個室が当たり前の環境で育った人が利用者となるので、その方々が多床室に住む事は考えにくいです。

 

また、この問題は個室という建物が悪いというより個室の費用が高いという制度が悪いだけです。

 

行政からの要望で安易に多床室をつくると、近い将来利用者から選ばれなくなり、大規模な改修を行う必要が発生するかもしれませんね。

 

また、現在入浴は最低基準の週2回で実施されていることが多いと思いますが、これは将来もずっと続くでしょうか。

 

現在の利用者は、毎日お風呂に入っていたわけではない方が多い年代ですが、今の現役世代は毎日の入浴は当たり前です。

 

介護が必要になったら急に週2日で我慢できるかというと、難しいのではないかと思われます。

 

であれば、将来入浴が増えても良いように整備を行っておく、という配慮も必要かもしれませんね。

 

このように、将来まで考えた計画にしておく事が必要です。

 

このようなアドバイスは、残念ながら行政の方はしてくれませんし、通常そこまで見込んだ設計を行ってくれる設計事務所もありません。

 

法人自らで将来を見越した計画を行う必要なあるのです。

 

介護施設の新築や改修の計画の際には、ぜひ将来まで考えたより良い整備を行う設計にするようにしてください。

 

将来を考えた建物にしよう
浴室の種類、数はどうしたらよいか、将来を見越した計画にしたいものです。