高齢者・ロービジョン者の見え方

介護環境デザイナーの間瀬樹省です。

 

昨日はこのメルマガでご案内しました通り「お茶の水UD研究会」が開催されました。
高齢者・ロービジョン者の見え方

 

昨日お話をしてくださったのは、産業技術総合研究所の伊藤納奈さん。

 

元々建築設計の実務をされていた方で、現在は研究の仕事をされています。

 

建築の実務が分かっている方が研究をされると、より実務に利用できる研究が進むので伊藤さんという存在は非常に貴重なのだと思います。

 

昨日発表があった実験と結果について、概略をお伝えします。

 

・色の識別や分類の実験

 

103色の色票を用意し、それが16色(赤・青・緑などの基本色)のどの色に近いか選んでもらう実験。

 

晴眼者よりもロービジョン者に認識のばらつきが多い。

 

視野で比較すると、視野の中央が見えない方のばらつきが多い。

 

ロービジョンの方に色で案内をする場合には、色の差をしっかり設けさらに明度の差(明るさの差)なども利用する方が良い。

 

・文字の認識

 

画面に文字を表示して読み取る実験。

 

白地に黒の文字よりも、黒字に白の文字の方が文字が小さくても読む事ができる。

 

文字の読み取りに時間制限がないと可読率は高まる。

 

文字で案内をする場合、濃い色のバックに白い文字で表示し、時間をかけてゆっくり読める環境にする必要がある。

 

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他にもコントラスト感度の実験などの紹介もありましたが、内容が少々専門的なので今日は省略させていただきます。

 

いかがでしょう、参考になりますよね。

 

色の問題、文字の表現の問題など、読み物や案内サインを作成するときにとても役立つ内容だと思います。

 

産業技術総合研究所では、今後このような実験の結果をWebサイトに分かりやすく公開していくそうです。

 

例えば、文字を読む方の年代と読む時の距離を入力すると読みやすい文字サイズが表示される、ということもWebでできるようにするそうです。

 

とても便利になりそうですね。サイトが出来たらまたご案内させていただきたいと思います。