介護施設の設計は最も重度な方に合わせよう

介護環境デザイナーの間瀬樹省です。

 
今日はたまたま事務所に複数の来客があるのですが、そのうちのお一方は私が設計で関わった事例を紹介したいというメーカーの方です。

 
色々な事情もあって、私の提案をすべて実現できた訳でない事例なのですが、「重度の方にも対応できるサ高住の事例を紹介したい」という趣旨だったのでお受けした次第です。

 
介護施設の設計をやっていて感じる事は、新たに創る建物に住む方がその方のスタイルで快適に過ごして欲しいということ。

 
そして体の状態に変化があっても、そこからまたすぐに他の施設に移動することなく、住み続ける事ができようにしたいということです。

 
誰でも引越し後は環境の変化に慣れるのに時間がかかるもの。これは介護が必要なお年寄りにとっても同じですよね。

 
介護が必要であるという理由でやむなく施設に暮らすという方が多いと思いますが、さらに引越しを続けるのは大きな負担になります。

 
一度暮らし始めた環境に慣れたら、なるべく長い期間そこを住まいとして暮らせるようにしたいですよね。

 
その為には、将来体の状況が変わっても対応できるようにしておくことがとても大切だと思うのです。

 
今は車いす利用の方が多くなくても…

 
・車いすから移乗しやすいようトイレの建具は大きく開くように
・トイレでは移乗介助のスペースを確保しておく
・お風呂は車いすで近づきやすいようスペースを確保しておく
・浴槽に出入りする際の介助を考えた配置にする

 
など予め考えた設計にしておく必要があると思うのです。

 
一度お付き合いが始まった利用者さんのことを責任をもってずっと支え続けたいと考えている事業所さんは多いと思います。

 
そのためにも、ハードを整備しておく事も大切だと思うのです。

 
誤解して欲しくないのは「重度の方向けならば、利用者が出来る事は少ないだろうから全て介護前提の空間にすれば良い」と言っている訳ではないということです。

 
可能な限りご自分のことは自分自身でできるように配慮した空間をつくることは大前提です。

 
その上で、車いすであっても介助が必要になっても大丈夫な配慮をしておこうということです。

 
より多くの方にとって快適な空間づくりをしたい、そのための設計ができればと思っています。

 

 

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必要な時には大きく開く「ひきドア」。

 

こんな扉にしておくと、車いすからの移乗を行う事になっても対応が容易です。