11.洗面スペースの配置と高さを工夫しよう

介護環境デザイナーの間瀬樹省です。

 

食事スペースに近接して設けられる「洗面スペース」。

 

手洗い、口腔ケアや整容の場として当然欠かせないものです。

 

この洗面スペースの整備についても、洗面台の数、位置、高さ等に配慮したいですね。

 

・洗面台の数

 

最近は小さな単位での食事が増えていますので、一ヵ所に多数の洗面を設けることは少なくなってきました。

 

また入居施設では個室が増えていますので、口腔ケアは居室で行うのが基本になり使用頻度も減っているかもしれませんね。

 

目安としては、食堂利用者10名に対して最低1ヵ所は設けておくようにするべきでしょう。

 

・洗面台の位置

 

食事スペースから遠い洗面台は利用するのに不便ですが、周囲の目にさらされるような位置もあまり良いとは言えませんね。

 

近くでもちょっと隠れた場所、というのがベストな配置でしょう。

 

小さな壁を立てて視線を遮る等の配慮を行ってみてください。

 

11.洗面スペースの配置と高さを工夫しよう
食事スペースに近接した洗面台。ルーバーを設けることでプライバシーを確保している。

 

・洗面台の高さ

 

洗面台を利用する方の体格や体の状況は様々ですよね。

 

大柄な方が立って使用する場合もあれば、小柄な方が車いすで使用するかもしれません。

 

ですので「高さは何cmすれば良いですか?」と質問されても答えるのが非常に難しいです。

 

洗面台が2ヵ所以上ある場合には、高さを変えるようにします。「立って使う用」と「車いすで使う用」ですね。

 

何も指示をしないと、同じ高さのカウンターに洗面台が何ヵ所か設けられてしまいがちです。

 

設計者、施工業者さんには「それぞれの高さを変えてください」とお願いしてみてください。

 

一般的な洗面台の高さは80cm程度だと思います。

 

「立って使う用」はこれと同程度か少し低め、「車いすで使う用」はさらに低めに設定するようにしてみてください。

 

1ヵ所しか設けることが出来ない場合は、まず他に使用できる洗面がないかどうか確認、使用できればその高さがどうなっているかを確認して高さを設定するようにします。

 

どうしても1ヵ所の場合は、車いすの高さに合わせましょう。

 

今後の施設計画、設計、改修工事などの際にぜひ参考にしてください。