24.手すりは必要な部分だけに設けよう

介護環境デザイナーの間瀬樹省です。

 

介護施設の空間づくりで必ず必要となるのが「手すり」。

 

手すりの設置位置、高さや設ける範囲などは必ず検討されると思います。

 

でもちょっと待ってください。その手すり、本当に必要でしょうか?

 

介護施設で暮らしている方を見ると、その方に合った方法で移動を行っていますよね。

 

車いす、杖、歩行器など、ご自身で移動する方法を何らか確保され施設内を移動されています。

 

手すりが無いと移動できない、という方はいないはずです。

 

もし仮にそのような方がいた場合、その方の移動範囲は手すりが連続して設けられている範囲だけということになってしまいます。

 

扉や通路などで手すりが途切れたら、移動はそこまでで終了。そこから先には行けませんから非現実的です。

 

つまり、現在の施設に設けられている手すりの多くは、特に使われることもなく存在しているだけ、ということになるのです。

 

ビニールの丸棒形状の手すりが施設内に取付けられていると、どんなにインテリアに気を遣っても「施設っぽい」感じになります。

 

生活に支障がなければ、無くしてしまいたいものだと感じます。

 

じゃあ、手すりは全部無くしていいのか?というとそれは違いますね。

 

手すりによって体を支える事が必要な場所や、場所では手すりは無くてはならないものとなります。

 

靴の履き替えがある玄関、扉の開け閉めを行う出入口、便座への着座を行うトイレ、浴槽への出入りや衣服の脱ぎ着がある浴室などです。

 

つまり、体が不安定になったり、体の重心が上下に動くような所にはしっかりと手すりを取付ける必要があるのです。

 

 

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出入口の手すりは、ドアを開け閉めする際に体を安定させる為に必要。でも廊下の横手すりは本当に必要かどうか検討の余地があります。

 

手すりは必ず付けなければならない、という考えを一度無くして本当に手すりが必要な場所はどこなのかを考えてみましょう。

 

介護施設の新築や改修の計画の際には、ぜひ設計者を巻き込んで検討してみてくださいね。

 

でも法律上手すりの設置は必要でしょ、と思われる方もいるでしょう。次回はその対策をお伝えます。