木造耐火の特養「幸の郷」現場見学会参加

 

愛知県小牧市にて建設中の特別養護老人ホーム「幸の郷」の現場見学会に参加いたしました。

 

 

建設を担当されている社会福祉法人元気寿会の日比野さんは、元々鉄骨造で計画が進んでいたこの特別養護老人ホームを、木造に変更されました。その理由はいくつかあります。

 

 
・建設費を抑えたい

関東圏ほどではないにしても建設費が高騰しており、基準内の安い居住費で住まいを提供したかった。特別養護老人ホームの建設費は1名あたり1200万円かかるが、一般の住宅では戸建てが2000万円程度、家族4人とすると一人当たり500万円である。スプリンクラー、エレベーター、耐火構造、非常通報装置などが加わったとしても高すぎる。一般住宅に近い建て方を行い、建設コストを下げたい。

 

 

・断熱性がよい

ユニットケア推進センターで行った調査では、特別養護老人ホームにおける光熱水道費は、1人当り年間40万円を超える施設から10万円強までと幅が広い。多くは鉄筋コンクリート造だが、一番安く抑えている施設は外断熱を採用していた。日比野氏が過去に関わった木造の小規模施設ではいづれも10万円台前半に抑えられており、これは断熱性の良さに由来すると思われる。

 

 

・住まいの雰囲気

木造の建物は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物と比べると、なんとなく空気が違う。具体的にどう違うと言われても説明できないが、違いを感じるものである。日本の住まいの6割は木造なので、介護施設においてももっと木造が増えるべき。

 

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今まで大型の施設ではツーバイフォー式が多かったですが、こちらは在来工法(軸組工法)で建設を実施しており、建設費は一人当たり836万円となっているそうです。ツーバイフォーより軸組工法の方が慣れている職人が多く、人手の確保が容易なのも理由のひとつだそうです。また軸組工法でしたらほとんどの材料を国産材で用意できます。デイサービスの棟では、県産材を使用することによる補助金を受けることもできたそうです。

 

 

コスト削減とより住まいの雰囲気に近づけることの両方を目的に、自動ドアの不採用、電子錠の不採用、大型給湯器の不採用(壁掛け式ガス湯沸かし器を採用)、ナースコールの不採用(ワイヤレスコールの採用)、業務用エアコンの不採用(家庭用ルームエアコンの採用)などをおこなったそうです。

 

 

設計を担当された大久手計画工房の大井さんにもお話をお伺いしましたが、これだけ大きな建物の木材のプレカットに対応する工場少なく対応してもらえる工場を探すのが大変だったとのこと。今後木造による大型建築が当たり前になり、対応出来る工場が増えていくことも普及には必要な条件となりそうです。