床材選びは重要です
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
先日介護施設の見学に伺った際のこと、転倒がとても多くて困っているというお話を伺いました。
利用者さんが自ら動く事を制限せず、自由に移動していただくことは当たり前のことですが、良い取組みであると思います。
しかし、転倒して骨折となると利用者さんが受けるダメージは計り知れません。
入院してリハビリを受けて、その間に排泄や食事を変えられてしまう可能性も大きく、元の状態に戻る為には大変な苦労が想像されます。
介護している職員さんにとってもショックですし、その間介護の報酬は受け取れませんから施設の経営にも大きな影響があります。
転倒を防ぐ為には、まずは転倒しないような環境整備が必要です。
立ち上がる際につかまる場所がある、移動の際につかまることのできる家具があるなど様々な事が考えられますね。
しかし、もしも転倒しまったら…
ということも考えて、介護施設の新築・改修の設計の際には、なるべく衝撃を和らげられる床材を計画する事も重要であると思います。
見学した施設さんでは、リスクの高い方の居室にコルクの床材を敷き詰めていました。
これで相当高い効果があるとのことですが、後から敷いているものなので見た目はあまりキレイではありません。
また、転びそうな方の部屋に毎回コルクを買ってきて敷くというのも少々大変な作業になります。
であれば、元々の床に衝撃吸収の対策を施しておくのが最良の策と言えるでしょう。
ポイントは、コンクリートの床の上に直接仕上げ材を張らない事だと思います。
一般的な介護施設の床仕上げである長尺シートは、厚さわずか2~3mmの材料です。
これがコンクリートの上に直接張られていたら、転んだ時の衝撃がかなり大きい事は想像できるでしょう。
衝撃を和らげるには、間に衝撃を吸収するシートを入れる、あるいは2重床にするなどの方法があります。
介護施設の新築や改修工事の際に床材を検討するときには、色や柄だけでなく機能についても設計士に確認するようにしてください。
建築士に機能性とデザイン性の両面を満たす最良の方法を提案するようぜひお願いしてみてください。