私は介護施設の設計の仕事をしておりますが、たまにこんな質問を受ける事があります。

 

「介護施設の設計はどこに頼んだらいいですか？」

 

設計の仕事をしている人間に対してこの質問はちょっと失礼じゃないのかなと思って、半分冗談で「私に依頼してください」と答えるのですが、今日はこの質問の答えについて考えてみたいと思います。

 

介護施設の現場を訪れた際に建築士に関する話しを聞く事があります。

 

「介護施設の設計経験がある事務所に頼んだのだけど、なんだかとても施設っぽくなってしまった」

 

あるいは逆に、

 

「介護施設の設計経験があまりない事務所だったので、介護に対する配慮が今ひとつ、とても使い勝手が悪くて困っている」

 

という意見も聞きます。

 

この二つの意見、どちらも確かにその通りだと思うのですがではどうしたら良いでしょうか。

 

介護施設の設計経験が豊富な事務所はある程度「任せて安心」という面がありますね。

 

施主から細かな指示をしなくても、過去の経験から適切な配慮をした設計をしてもらえるというメリットがあります。

 

反面「介護施設」について過去の経験が「固定観念」になってしまって決まりきった設計しかできなくなっているという面もあると思います。

 

この様な設計事務所に対しては、自分の持つイメージを十分に伝えて介護施設という枠にとらわれない設計をして欲しいと依頼する必要があります。

 

時にはイメージ写真や素材などを具体的に提示して「こんなことをやってみたいのだけど」と相談することも必要でしょう。

 

自由な発想で遊び心のある設計をして欲しい事を十分に理解してもらう必要がありますね。

 

介護施設の設計経験があまりない事務所、例えば住宅や商業施設などの設計が得意な事務所に頼むという方法もあります。

 

最大のメリットはデザイン性、従来の介護施設という枠にとらわれない設計になることは間違いありません。
（経験がないから当然ですね）

 

ただし、介護の現場でどんな事が行われているかや現場で求められていることなどについては経験がないですから全く理解できていません。

 

これを一つ一つ説明していく必要があります。
ちょっと大変ですが、これを怠ると使えない建物になりますから注意が必要です。

 

でも他と同じ施設を作ってもしょうがない、日本に（いや世界に）一つのオリジナリティーある建物をつくろうと思ったらあえて経験のない事務所に頼むという方法は検討すべきです。

 

ご自分が施設を作ろうとしたらどちらの方がより求める結果が得やすいかどうかで判断されると宜しいかと思います。

 

どうしたらよいか決められなかったら…ぜひ弊社にご相談ください（笑）。