内外装材の色柄選びのポイント
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
新しい施設のオープンが来年の春だとすると、今頃がちょうど内外装の色決めの時期になるかと思います。
私自身も、担当している現場で今の時期は外装のカラーや、内装材決定の最終時期になっています。
具体的な色の選び方、お年寄りの目の見え方に配慮した選び方などは色々とノウハウがあります。
今日はそれ以前に、素材の色を選ぶ際に最低限守るべきポイントをお伝えしたいと思います。
・なるべく大きなサンプルで検討する
床材や壁紙などは、サンプル帳に5cm角程度の大きさで紹介されていることが多いと思います。
でも、サンプル帳だけ見て決めてはいけません。
内装材は実際にはずっと大きな面積で使う訳ですから、小さなチップだけで決めるのは非常に危険です。
サンプル帳は何のためにあるのかというと、もっと大きなサンプルを注文するためのものです。
サンプル帳で候補を選んだら、施工会社の方にもっと大きなサンプルを取り寄せてもらうようにしましょう。
面積が違うだけで色の印象は大きく変わります。
また柄があるものですと、面積が大きくないと実際にどのように柄が見えるのかよく分からないはずです。
柄のあるものに関しては、実際に施工された写真等も参考にしながら柄がどのように見えるのかよく検討してみてください。
・面積が大きくなると色は明るく見える
A4サイズ程度のサンプルを取り寄せてもらっても、実際に大きな面積になったときにどのように見えるのか、想像するのは難しいですね。
そんなとき、面積が大きくなるとどうなるのかの傾向を考えて選定をするようにしてください。
例えば壁紙を選ぶとき「白っぽいのでイイね」と白の壁紙を選ぶと、ものすごく真っ白の壁になります。
明るいベージュくらいまでは、実際に壁に貼るとほぼ「白」に見えます。面積が大きくなると、より明るく見えるようになるのです。
また、例えば壁や床に2色の違う色を使う場合、小さな面積ではその差がはっきりしなくても、大きな面積になれば差がはっきりします。
ぜひこれらの点を考慮した選び方をしてみてください。
・検討する際の「光」に注意
色はそこに当たっている光によって違って見えます。
ですので、実際に使用する環境に近い光が得られる場所で検討するようにするのがベストです。
外装材は当然屋外で検討しましょう。昼間の明るい時と、夕方の見え方も比較するのがベストです。
内装材は使用する照明が青っぽい光なのか暖かい色の光なのかを考慮して選ぶようにしましょう。
実際に使用する照明に近い光を使って選ぶと「こんなはずじゃなかった」ということは少なくなるはずです。
・少し遊び心を持って…
色を選ぶ際にはどうしても冒険せず無難な色を選ぶようになりがちです。
思い切った色や柄を選んで、失敗したくないという気持ちはどなたも共通して持っていると思います。
でも、色や柄はある程度思い切ったものを選んでも、意外に出来上がってみると普通の感じだったりします。
少し遊び心を持って思い切った色や柄を選ぶくらいの感覚が、ちょうど良いのではないかと思っています。
もちろん、家具や装飾品を空間のポイントにするという考え方もありますので、それも良いでしょう。
一度決めた内外装は、施工後かなりの期間そのまま使用する事になるので、ぜひ十分な時間をかけて検討するようにしてください。
困った時は設計者の意見を聞いてみましょう。
設計者は施主さんよりもはるかに多くの現場を経験していますから、その経験を基にしたアドバイスはもらえるはずです。
その意見に介護のプロである皆さんの考えを加えて判断するのが一番よい方法なのだと思います。
建物の色や内装材の柄などを選ぶ機会は人生で何度も経験することではないはずです。
ぜひ楽しみながら検討してみて下さい。
内外装の仕上げや色を選ぶ作業は大変ですが楽しい作業です!