03.もう多床室はつくらない
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
1989年、高齢社会に向けた「ゴールドプラン」が制定され、当時の厚生省は補助金により施設建設を推進してきました。
当時の政策は「まず数の充足が大切」ということで、4床室での施設整備を優先していました。
そのため、現在でも4床室の介護施設が多数運営されている状況となっています。
4床室が当たり前、の環境で介護をされている方は、個室について色々と問題があると感じているようです。
・見守りが大変
・個室は寂しい
・4床室ならお互いの状況が確認できる
しかし、これらは大きな誤解であることが調査により確かめられています。
4床室の同じ室内で暮らす方々は利害関係があり、実は室内でのコミュニケーションはほとんど行われていません。
そのため、居室を出て他の部屋の方と仲良くなるのです。
自分が一人になれるプライベート空間、自分の拠点があって初めて他の方との関わりが持てる訳ですね。
見守りに関しても、4床室であっても家具やカーテンなどでプライバシーが守られている状況だとそれなりに時間はかかるはず。
個室とそれほど大きな時間の差があるとは思えません。
むしろ、お互いの気配を常に意識しながら暮らすことを強要していることを大きな問題と捉えるべきです。
「一人で寝るのは不安」という方もいると思います。
その場合には、職員スペースの近くに横になれるコーナーを設けるなどの方法を取るのが良い解決法ではないでしょうか。
今後は小さな頃は雑魚寝で育った、という世代から段々と個室が当たり前の世代が利用するようになってきます。
今から多床室をつくろうとするのは、完全に時代に逆行しているとしか考えられませんね。
「個室は高くて人気がない」という話しも聞きます。
特別養護老人ホームを例にとると、個室でも4床室でも一人当たりの居室の面積基準は10.65平米で同じです。
個室ですと、扉や洗面などを個別に設けますから建設費はその分高くなりますが、何倍にもなる訳ではありません。
個室の料金が高いのは制度の問題であり、それを理由に個室を否定するのはおかしな話しです。
今後は、個室は当然であり、その個室をよりよい空間にするにはどうしたら良いか、という議論をしたいものですね。
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