04.住まいらしい照明にしよう
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
高齢者介護施設は、お年寄りの暮らしの場。
そのような認識は高まってきていると思いますが、まだまだ空間設計のディテールには配慮しきれていないと感じています。
特に照明についいては「目の見えずらいお年寄りの住む場所だから空間全体を明るく」という程度にしか配慮されていないのが実情です。
では「住まいらしい照明」にするにはどうしたらよいでしょうか。
私達は暮らしの中で、必要な明るさを確保する為に様々な照明器具を場所に応じて使用しています。
食卓のテーブルの上には、吊り下げ式(ペンダント式)の照明。
くつろぎの空間には、卓上のライトやスタンド照明など雰囲気づくりの照明が使われるかもしれませんね。
机にはデスクライトを置けば、部屋全体をあまり明るくしなくても読書や作業に十分な明るさが得られます。
ベッドサイドには、読書や足元を照らす照明があると便利です。
こんな風に「暮らしの場に必要な照明ってなんだろう」と考えていくことが大切なのではないかと思います。
そうすれば、むき出しの蛍光灯が均一に並んで明るさだけは確保された空間、にはならないはずです。
照明器具の選定にも気をつかいたいものです。
器具が置かれた空間に合うことはもちろんのこと、眩しさを感じにくい器具を選ぶ事も大切です。
白内障の高齢者は、目の水晶体で光が乱反射して眩しさを感じやすくなっていますから、電球にカバーの無いむき出しの灯具は基本的に避けます。
そして最後に、光の色や強さについて考えましょう。
日頃から頻繁に外出している方は問題ないのですが、建物の中で多くの時間を過ごす方もたくさんいらっしゃると思います。
日中は太陽がでて外はとても明るいですが、夕方になるとだんだんと暗くなってきますよね。
室内で過ごしていても、その時間の流れが感じられるようにしたいものです。
日中は明るく少し白っぽい光、夕方から夜にかけては少し暗くして温かみのある光に調整できる計画だといいですね。
昼間は活動的に、夜は就寝に向けてゆったりと過ごすことができます。
デザイン、機能など様々な配慮が必要な「照明」ですが、ぜひ心地よい空間をつくってみてください。
和風の空間に、和風のペンダント式照明を設けた共同生活室の例。