13.トイレらしいデザインにしよう
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
建物にはたくさんの扉が設けられています。
入居施設であれば、居室の扉がたくさん並ぶ状況になりますね。
その中から自分が目指す場所の扉を見つけるのは慣れないとかなり大変な作業になるはずです。
物を覚えるのが得意な若い人でも慣れない場所では苦戦します。
ものを覚えるのが難しいお年寄りにとっては、より困難な作業になってしまうことは間違いありません。
特にトイレは急いで探すことも多い場所ですから、他の扉と間違わないようにしたいものです。
施設内に同じような引き戸が並んでいるのを良く見かけますが、これでは一目でトイレだと理解するのは難しいでしょう。
そのため「便所」と大きく書かれた紙が貼られていることがありますが、あまり見栄えの良いものではないですね。
普通の住まいでは、まず行われないことですので避けたいものです。
どうしたら良いかというと、トイレの扉のデザインをトイレらしくすることをお勧めします。
「トイレらしい」というのはちょっと想像しにくいかもしれません。今の建物のトイレの扉のデザインは様々ですから。
ここで目指して欲しいのは、お年寄りが育った環境である昔の建物のトイレの扉のイメージです。
板でできた扉、何となくイメージできませんか?
スチールの立派な吊り戸よりも、トイレらしい雰囲気なること間違い無しだと思います。
トイレのマークを表示すること無くトイレと分かるデザインがもっとも優れたデザインだと思いますので、ぜひ工夫してみてください。
以前、介護施設の扉として古建具を探しに行った際の写真。もっとシンプルなデザインでよいですが、こんな扉だとトイレらしい雰囲気が作りやすいですね。