14.トイレは介助が多い方に合わせて設計しよう
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
介護施設のトイレを使用する方の体の状況は様々です。
ご自分で全部出来る方もいるかもしれませんし、扉を開けるところからすべて介助が必要な方もいらっしゃるでしょう。
ではどんなトイレにしたら良いのかと悩んでしまうかもしれません。
私は、介助がより多く必要な方(重度な方)に合わせて設計するべきだと考えています。
当たり前ですが、軽度な方は重度な方向けのトイレを使うことができますが、逆は無理ですよね。
施設内に設けることのできるトイレの数には限りがある、ならば重度な方に合わせるのが合理的です。
また、利用者の体の状況はいつも一定とは限りません。
体調が悪くなることもあれば、いままで出来たことが出来なくなってしまうこともあるでしょう。
今まで使えたトイレが使えなくなった、だからこの施設は利用できない、ということにはしたくないですよね。
一度お付き合いがスタートした利用者さんとは、利用者さんが望む限り継続してサービスを提供したいものです。
その為にもより重度な方でも利用できるトイレにしておくべきと考えるのです。
お勧めのレイアウトは、便器後方からアプローチするタイプです。車いすを移乗しやすい位置に容易に寄せることができます。
便器の正面や横からアプローチするレイアウトを見慣れた方には違和感のあるレイアウトですが非常に使いやすいと思います。
出入口位置と便器の位置の例。便器の後方からアプローチすると、便器に車いすを寄せるのが容易であり、介助で利用する場合はそのままバックで退室できるのでトイレ内での回転が不要になる。