17.住まいの雰囲気のある浴室にしよう
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
先月まではトイレやその周囲のスペースについてお伝えしてきました。
今日から浴室について書いてみたいと思います。
すべてお伝えしようとするとかなりのボリュームになってしまうので、ここではポイントを絞ってお伝えしたいと思います。
今日は「住まいの雰囲気のある浴室にしよう」という内容です。
介護施設の浴室と言えば、タイル張りでだだっ広く、冷たいイメージの場所が多かったと思います。
今でもそんな雰囲気の浴室は少なくないでしょう。
また、浴室に汚物流しがあったり、モップやデッキブラシ、エプロンや長靴などが無造作に置かれていることも多いと感じます。
残念ながら落ち着いて入浴を楽しむ空間とはほど遠いというのが実情ではないでしょうか。
皆さんが家庭でお風呂に入る時のように、落ち着いて入浴できる場所にしたいものですよね。
そのためのポイントを今日は2点お伝えします。
・広くしすぎない
介護施設の浴室は、車椅子でも使用することから必要以上に広い空間が確保されてしまうことが多いと感じます。
一般家庭の浴室と同じ広さですと少し狭いですが、あまり広くしすぎる必要はありません。
車椅子からシャワーチェアへ移乗するスペースが確保できれば、あとは普通の浴室とほぼ同様のスペースで問題ありません。
やたらと広い浴室に、浴槽がぽつんと設置されているのは、いかにも不自然です。
また広すぎると冬場は室内が暖まりにくく、体を洗う際に寒い思いをすることになります。
必要以上に広くしないことが大切です。
・一つの浴室に一つの浴槽を基本に
自宅の浴室に浴槽が二つあるお宅はまずないですよね。
やはり一つの浴室に一つの浴槽が基本だと思います。
スペースに制約がある場合、複数の大きさの浴槽を使い分ける場合などいくつかの特別な場合を除いて、浴槽は一つにしておくべきでしょう。
浴室が個別になっていると、男女を時間で分ける必要がなくなりますし、プライバシーが確保しやすいです。
人に裸を見られるのは嫌だ、という方にも対応しやすいですね。
これからの将来を考えても、自宅で入浴するのが当たり前という世代が利用者になるので、一人ずつの浴室にしておく方が良いです。
ただ介護のことを考えると、複数の職員さんが連携できるように個別の浴室を近接して設け、すぐにアクセスできるようにしておくことも必要でしょう。
介護施設の新設、あるいは改修工事で浴室を設計する場合には、ぜひ参考にしてください。
家庭の浴室同様のコンパクトなスペースに設けた浴室です。