介護施設のスプリンクラー設置
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。
グループホームなどで火災が起こると、その度にスプリンクラーなどの設置を含めた法規制が話題になります。
今日は、そのスプリンクラーについての情報を整理してみますね。
現在の法律は、平成18年に起きた火災を契機に平成19年6月に改正されたものです。
以前はスプリンクラーの設置は、1000㎡以上の建物となっていましたが、この時から275㎡以上となりました。
スプリンクラーの設置が義務づけられている施設は、以下の表の通りです。
設置の対象は、介護等のサポートが必要な方が常に暮らして(あるいは宿泊して)いる施設だと解釈できます。
ですからデイサービスは入っていませんし、小規模多機能も微妙な感じですが含まれていません。
介護施設における火災事故の多くは、職員が少ない夜間に起きているようですから、この法改正は正しいと言えるでしょう。
スプリンクラーを設置する場合には、建物内に配管を行いそこに消火用の水を供給するための消火水槽とポンプ等の設置が必要となります。
消火水槽はかなり大きなものになりますし、ポンプ等の設置スペースも必要になりますからその場所の確保を考える必要があります。
ただ、先ほど挙げた対象施設の面積が1000㎡以下の場合には、「水道直結型スプリンクラー設備」にすることができます。
このタイプですと、大きな水槽などが不要になりますので、スペースとコストをセーブすることができます。
対象施設とその他の施設が同じ建物内にある場合、対象施設の面積が1000㎡以上かどうかで判断されます。
ただし、共用で使用するスペースについてはその他の施設と面積を按分して加える必要があるので注意が必要ですね。
水道直結型スプリンクラー設備を設けるスペースは、居室、談話室など常時人がいる部分となります。
地域によって解釈や指導が異なるケースがありますので、設計士や業者の方に消防署に確認するようお願いしてください。
以上が法律の規定なのですが、面積が規定以下なら必ず設置しないと決まっている訳ではありません。
介護施設は暮らしの場、暮らしの場にスプリンクラーのヘッドが設置されているのはどうも雰囲気が悪い…
そのように思う方は多いでしょうし、私もそう感じますが、雰囲気と命のどちらが大切かと言えば、いざという時の安全性を重視すべきだと思います。
最近は、軟式の配管で後から簡易に設置できるタイプもあります。気になった方は、検討してみてはいかがでしょうか。