コミック <傘寿まり子>

 

多くの電子書籍が出回っている中、個人的には紙媒体を好むのですが、携帯を見ているとコミック本も多く出回っていることに気づかされます。

 

そんな中、最近気になる作品が目にとまりました。2016 年 11 月に発売された<傘寿まり子>というマンガです。主人公は 80 歳のおばあちゃん、これだけでも私の中のマンガに対するイメージ(学生時代に読んだもの)とは随分程遠いものでした。作者である「おざわゆき」さんがインタビューの中でどうしてこの題材を扱ったのかについて答えています。ご自身のお母さんが 80 代であり身近であったこと、また「歳をとったという感覚が身近なものになっている、いわば老いのベテランで、気力を持って自分の人生について考えられる一番最後の時期を描こう」と思われたからだそうです。

 

あらすじを少しご紹介します:

 

ベテラン作家の主人公である幸田まり子は、自分の家で息子夫婦、孫夫婦との間で住居問題が勃発。老人の自分には居場所がないことを感じ一人家出を決意。街中のネットカフェで暮らし始めるが。。。とここからスタートする話です。

 

全て読んではいませんが、年齢を重ねたヒロインのこれまでの人生経験、歴史、今思うこと、そして家を出てから様々な事にチャレンジする際の気持ちがこれでもかというくらい描かれています。

 

こんなことあるのか?という場面もありますが、類似したことは実際に高齢者の方を取り巻く生活の中で起こっていないわけではないともいえました。

 

「幸せな老後とは?」に対する答えは個々違い、またこの主人公のように 80 歳で作家という仕事をしている設定は少数派であると言えますが、まり子の気持ちはそういった設定以前に多くの人が共有できるものだと思いました。

 

社会で起こっている問題に一石を投じる方法としてマンガという手段がある、と改めて思わされた作品でした。